申鶴 CV 川澄綾子 | |
---|---|
誕生日 | 3月10日 |
所属 | 璃月港 |
使用武器 | 長柄武器 |
神の目 | 氷 |
命ノ星座 | 愁疏座 |
師匠 | 留雲借風真君 |
仙人の弟子であり、気品溢れる女性。璃月の山奥にひっそりと住み、その気質は仙人のように孤独で淡々としている。 |
キャラクター詳細
申鶴は妖魔退治一族の分家の生まれである。しかし様々な偶然が重なり、彼女は仙人の弟子となった。
留雲借風真君を師としているが、申鶴が持つ優れた胆力と智慧により、彼女はたちまち他の仙人の心をも掴んだ。
そして、申鶴は仙人たちのもとで方術を学び、人の身でありながら仙人の方術を習得した。
申鶴が持つ気質からか、彼女の一挙手一投足には仙気が漂っているように見える。その姿は、まるで俗世を離れた仙人と言っても過言ではない。
しかし、申鶴は人目の付かない山奥に長年住んできた人間。仙人たちを除いて、彼女の周りにいたのは鳥や獣だけであった。
その結果、彼女の性格は冷たさを感じる、ますます近寄りがたいものとなっていった。
キャラクターストーリー1
璃月の仙人を訪ねようとした者たちの間で、時折語られる噂話がある。それが本物の仙人との邂逅だ。誰かがどこかで絶望的な状況に陥った時…
ある白髪の儚げな仙人が、間一髪のところで助けてくれるという…よくあるような話だ。
その後の展開は、街角で幾度も歌われてきたようなもの。美しく、酩酊する展開ばかりである。
しかし、当の白髪の仙人がそれについて語る時、全く違う話になる。
「時折、山の中に迷惑な輩が現れる。いぶかしむような目で我を見る様は、実にうんざりする。師匠の邪魔にならないよう、いっそ方術で追い出すか…万が一、手加減できずに傷つけてしまった場合…それも自業自得であろう、仕様がないことだ。」
キャラクターストーリー2
自由気ままで、仙人のような生活をする人間の中でも、申鶴はもっとも俗世から離れた者であろう。
若くして山奥に住むことになった彼女は、常識が欠けており、人間関係を上手く維持することができない。
普通の人であれば一つの物事に対し、いくつかの考えを巡らせるだろう。しかし、申鶴の場合はもっとも単純で、直接的なものしか思い浮かばないのだ。
たとえば、誰かと意見が食い違った時、彼女には「交渉」という選択肢が出てこない。その代わりに「脅迫」という手段を選んでしまう。確かに手っ取り早く、効率もいい方法ではあるが…
そんな彼女だが、俗世から離れていたがゆえに、妙なことで考えに耽ることがたまにある——食事をするのに、なぜモラを払わねばならないのだろうか?
人々への脅迫と、賊への脅迫になんの違いがあるのだろうか?
また自分の師である留雲借風真君のことを、話術に長けた仙人だと心の底から信じていた。その点だけ見れば、彼女はとても純粋な人物だと分かる。
子供のように混沌とした、しかし単純な認識と論理だけで世を歩いている。
かつて、理水畳山真君はこう言った。
「申鶴という娘は優れた才を持つだけでなく、一風変わった性格をしている。」
「世事に疎く、常識にも欠けている。無知蒙昧で勝手気ままだ。」
「留雲借風が彼女を弟子にした時も、容易なことではなかっただろう。」
キャラクターストーリー3
璃月の民間に伝わる逸話の中に、名も無き者が仙人に拾われ、指南を受けることで高みへ登って行く…という仙人との縁を描いた物語が数多く存在する。
しかし、申鶴が弟子入りをした背景はそうではない。むしろ、苦しみを伴うものであった。
彼女が五歳の時、母が病気で亡くなった。妻を心から愛していた父は、その痛みに耐えることができなかった。
時が経つにつて、その痛みは怨嗟へと変わり、狂気に陥った父は旅に出る。
彼は亡くなった妻を蘇らせる方術を求め、夜も眠らずに、一年間休むことなくそのすべを探し歩いた。
彼が幼い申鶴のもとに帰ってきた時、その顔には狂喜が浮かんでいた。
父が見つけたのは、「命の引換」と呼ばれる神秘に満ちた方術。
その方術で召喚できる「仙霊」に生贄を捧げることで、亡くなった人間が蘇るという。
この時の申鶴はただ喜ぶだけで、これから起こる悲劇に気付いていなかった。無理もない、彼女は普通の子供なのだ…長い間、不在だった父がようやく帰ってきたのであれば、それも当然の反応だろう。
彼は裏山の洞窟に贈り物を用意したと言い、申鶴をそこへ連れて行った。
その後の出来事を、申鶴は今も忘れられない——辿り着いた洞窟には、父が召喚した不気味な黒い「仙霊」がいた。その血走った眼に映るのは、生命力に満ちた申鶴の命のみ。
申鶴は目を見張った。それがどこから来て、この家から何を奪おうとしているのか全く想像ができなかった。
人は危険な状態に陥ると鈍くなるものだ。幼い申鶴も同様に、ある一つのことしか考えられなくなっていた。
彼女を飲み込もうとする魔物を前に、申鶴はただ生き延びることだけを考えた。
彼女は母の魔除けの短剣を握りしめ、震えながら意を決し、黒い「仙霊」に刃先を向けた…数日後、とある仙人が残留する邪な気配を辿り洞窟を訪れた。そこにいたのは何日も飲み食いせず、満身創痍となった少女。
仙人は、彼女の不幸な運命を憐れんだ。ただ同時に、申鶴が恐ろしい魔物と渡り合ったことを知り、その才に可能性を見出した。仙人は彼女の傷を癒し、方術の手ほどきをした。
そして、今の申鶴へと成長していったのである。
キャラクターストーリー4
十数年、山で修行していれば、いかに冷めた心でも波打つことがある。
無論、申鶴も例外ではない。ある夜、ふと思い立ち、彼女は一人で山を下りて故郷に帰ったことがある。
故郷や親族に心残りがあったわけではない。ただ、漠然とした感情に従っての行動であった。
かつて住んでいた家に行き、過去のことに執着する父がどのような生活をしているのか、確かめてみたいと思った。
申鶴が故郷に戻って近くの人に尋ねてみると、父は数年前に亡くなっていた。
子供の頃に住んでいた家も質に入れられた後、取り壊され、記憶の中にあった痕跡も風雨にさらされてすべて消えていた。
申鶴は人々の注目を集めていたが気にもせず、声を掛けられても一切答えなかった。
心の奥底に響く音に耳を傾けながら、彼女はただ黙って立ち尽くすのみ。
怨恨? 妄念? これで我の心は晴れたのだろうか?
それらが一瞬にして浮かび上がり、そして何も残らなかった。心には、波の立たない古い井戸があるだけ。
それは完全に干上がっており、波紋も広がらない。
彼女は長い間、その場に立っていた。やがて、人々が怪訝そうに見つめる中、彼女は去った。
一歩一歩ゆっくりと、一度も振り返ることなく足を進めて。
キャラクターストーリー5
占星術のように、璃月にも運命を占う方法がある。
その占いが示す結果の中でも、人々が特に避けているのが二つの「命格」だ。
一つは孤辰の運命。家族や友人と離れ離れになり、生涯孤独となる運命である。
もう一つが劫煞の運命。数多の災難に見舞われ、常に危険が伴う運命である。
幼い申鶴を仙人が引き取った後、削月築陽真君が彼女を占ったことがあった。
結果、申鶴はその命格を二つとも背負っていた。彼女は孤独で仇なす者であり、その溢れ出る殺意は千年に一度の凶兆。
申鶴を平穏無事に成長させ、無関係な人間に害を与えないためにも、仙人たちが施したのが赤紐で彼女の魂を縛る術だ。
その術により、彼女が放つ殺意と害意は確かに縛られた。しかし、同時に人間が持つ様々な感情も封じられてしまった。
それ以来、申鶴は些細なことで動じなくなり、人が大切にするものも彼女の目には塵として映るようになった。
人間性が徐々に薄れていく彼女は、まるで欲のない美しい彫像のよう。
だが、ある異郷の旅人との出会いをきっかけに、自分の運命の奥底にある何かが緩んで行くことに彼女は気づいた。
そして、長いこと消えていた馴染みのない感情が、少しずつ彼女に現れ始める。
削月築陽真君が言うように——運命は天が定めるもの、運勢は人が描くものだ。
申鶴とこの世の物語は、まだ幕を閉じてはいない…
翠鈿白玉櫛
申鶴の髪は元々黒かった。
琥牢山に着いた時、彼女は岩の上に登って雲海を眺めながら何も考えず、一日中無言でいることを望んだ。
眠くなったら服を着たまま眠り、喉が渇いたら山露を飲み、お腹が空いたら清心を摘んで食べる生活。
留雲借風真君の心は鏡のように澄んでいる。彼女のことを邪魔することなく、仙石で作られた翠白玉櫛を申鶴に送った。
そして、留雲借風真君はこう言ったという。今後、俗世との縁を切り、仙人の弟子となることを望んだ時、この玉櫛で髪を三回梳かすといい。さすれば弟子と見なされる。
すると、申鶴は躊躇うことなく、髪を三回梳いた。不思議なことに、髪を一回梳かすと、その黒髪に銀色の霜が降りた。
二回梳かすと、黒髪と白髪が半々になった。
三回梳かすと、まるで白雪に覆われたかのようになった。
申鶴は今でも、その櫛を仙人との縁を結んだ証として身に着けている。
長年の修行を経て、彼女は髪を三回梳かすこの儀式の意味を理解した。
それは、櫛一回で悩みを溶かし、櫛二回で喜びも悲しみも無にし、櫛三回で白髪になっても後悔しないというものであった。
神の目
これはあまり知られていない話。
当時、洞窟で父に生贄として捧げられた幼い少女が、どのようにして何日も魔物と戦ったのか。
申鶴は妖魔退治の家に生まれたが、正気を失った父からは魔除けの符術を教えてもらえなかった。
同年代の無邪気な子供と同じで、彼女は厳しい現実に直面したことがない。
しかし洞窟の暗闇の中で、親の庇護を失い、血縁者に裏切られたその絶望的な状況で申鶴は生まれ変わった。
削月築陽真君の占いが示した通り、申鶴の奥底に眠る激しい怒りと血への渇望、そして不屈の精神が、その瞬間に一気に噴き出したのだ。
それらはまるで不可視の盾であり、目で捉えることのできない剣となって、少女の細い体を包んだ。
そして彼女に力を授け、牙を飾り、目の前の下等な魔物を殺すことを許可した。彼女は誓う、この暗闇の中でもっとも凶暴で邪悪であること証明するため、それを八つ裂きにすると。
命を賭けた戦いが連日続いた。狩人と獲物が交互に入れ替わり、交互の戦いが続く…
生死を分ける瞬間、その並外れた力を振るう少女に神々は目を向けた。
ぽとりと、輝くものが申鶴のほうへと傾き、勝敗は決した。
澄んだ氷の光が霞光のように闇を突き破り、未来への道を示してくれた。
過去の悲惨な運命から申鶴を救い出したそれは、きっと未来でも、彼女が俗世に戻れるよう導くことだろう。